顔と心

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最近の街灯は暗くなれば、1人で灯る。偉大なる科学の力。
野うさぎは、野山に雪が積もると白くなる。自然の不思議な力。
作家の八木義徳さんは、学生時代左翼運動に関連して退学になった。その時お母さんは、退学させられたことについては、一言も言わなかったが、漆のように暗かった髪が、一夜のうちに白くなってしまったと言う。八木さんは、親の愛情の深さをまざまざと感じ胸が締め付けられるようだったと言う。
あるお坊さんが言われるのに壇中の方から「住職さん。あなたこの頃、少し見やすくなった。2、3年前の顔は見られなかったよ」と言われてどきっとしたと言う。2、3年前と言うのは、そのお寺の国宝本堂の修理中で、金策にきゅうきゅうとしていたわけである。
朝日新聞の記者が聴聞記を取材したのを振り返って書かれていることには、修行し徳を積まれた方には共通して顔に厳かさがあるとあったが、そうであろう。
リンカーンに、ある親友が、40過ぎの1人の男を雇ってくれるように頼んだところ、リンカーンは、会ってみたいと申し出、その結果、「顔がみにくい」と言って断った。「人間の平等を叫ぶあなたが、なぜ顔で差別をするのか。顔は生まれつきではないか」となじった時「生まれつきと言うのは、幼い時の事である。人間、40にもなれば、顔は自分の責任である」と答えたと言う。
近くの方で、町で1番の美人に似ているとさえ言われて嫁にもらわれた方が、姑との折り合いも悪く、近所付き合いも良くないとの噂であるが、最近、とても顔がみにくくなったことを思わずにはいられない。恐ろしいことだと思った。
顔は心の表現である。私は叫びたい。いがみ合い、膨れっ面をするたびに、その人の顔にはみにくいシワが、きざみこまれていくと言うことを。
肌に合ったクリームをつけることも大切だが、それとともに内面よりほとばしる美しさを持ちたい。仏の教えを聞き、仏が拝むと言うことがどれほどの力になるか。気高い仏の像を拝むだけでも良い。美しいものに触れ合いたいものである。

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