すばらしい仕事

すばらしい仕事

息がつまるような恐ろしい世の中のようですが、落ち着いて周囲を見回すと、あまり気のつかないところに、善意に満ちた人々、頭の下がる方々がいろいろおられます。
例えば羽田空港の靴磨きのおばさんたちです。
私は、まず、その磨きっぷりに驚きました。磨いては眺め、眺めてはみがき、最後の仕上げを見ますと、ものが映るほどなのです。私は、ここで靴を磨いてもらうと、心まで磨いてもらったようになり、疲れた時でも実に晴れ晴れとするのです。
日本でも外国でも、ずいぶん、いろいろなところで靴磨きをしてもらいましたが、このおばさんほど、心を込めて靴を磨いているのを見たことがありません。
苦労もあるでしょうが、その時のおばさんたちの顔には少しの曇りもなく、全く仕事に打ち込んでいられます。尊い姿と申すほかはございません。

これは前京大総長平沢興(コウ)先生の話です。
この話から思い出されるのは、シュリハンドクと言うお釈迦様の弟子の1人のことです。
彼は愚鈍第一と言われ、自分の名前さえ覚えられず、背中に名札を荷っていて、名前を尋ねられると背中を見せたという程で、それを食べると、物忘れをするという茗荷(みょうが)は彼を埋めたところに生えたところから名付けられたというエピソードさえある人です。
しかし彼は、自分に与えられた掃除に心を込め、掃除することによって魂を磨いたのです。
彼もまた、はいでは眺め、眺めてははき、心いくまではき清めたことでしょう。彼がはいた後を見ると誰の心も、すがすがしくなったということです。

お皿を1枚洗うのにも、そうした心でするならば、どんなに素晴らしい仕事になることでしょうか。命が輝くようにしたい思われます。

平沢先生は、次にこんな話も書かれています。
それから感心しているのは、最近自宅の修繕を頼んだ大工さんです。
危険のない程度に直してもらうつもりで、頼んだのですが名人気質と申しますか、その仕事ぶりのまじめさと、頭の良い親切さには全く驚かされました。
こんな大工さんに修繕してもらった家に住める私は幸せです。
世間的には、何もない方ですが、世の中を本当に支えているのは、こうした人々ではないでしょうか。
こういう善意にあずかって、心の修理をして、美しく行きたいと願っておりますーーーと。

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